頭皮が敏感な方への適切なヘアケア・スカルプケアについてお伝えしていきます。

頭皮が敏感な方への適切なヘアケア・スカルプケアについてお伝えしていきます。

季節の変わり目になると、お肌と一緒で頭皮もゆらぎやすく、頭皮トラブルにお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか? 頭皮がかゆい、フケが出る…乾燥する、シャンプーが合わない…など、敏感肌の方にとって、どんなヘアケアやスカルプケアがいいのか、低刺激のシャンプーってどんなシャンプーなのか、気になるところですよね。またこのような症状は、普段は平気でも、季節や体調によっても出てくるお悩みで、日々お客様からも多くのご相談があります。敏感肌の方、敏感頭皮の方のお悩みに沿った適切なケア方法についてお伝えしていきます。

目次

これって敏感頭皮?頭皮が敏感な方の症状とは?

当てはまれば要注意?!頭皮が敏感な方の症状

✓ひりひりする:刺激に対して敏感で、シャンプーなどしみることがあります。
✓かゆみフケ:頭皮にかゆみフケが生じることがあります。顔など、頭皮以外の部分が敏感肌になると全身に症状が出ることがあります。
✓乾燥:敏感肌の人は頭皮が乾燥しやすくなります。
✓赤み:刺激に弱く、頭皮に赤みがでることがあります。
✓皮脂の過剰分泌:頭皮が乾燥しやすいことで、皮脂が過剰に分泌され、毛穴が広がり、毛穴が開いてしまうことがあります。

頭皮が敏感になる原因は?

1. 乾燥: 肌が乾燥するとバリア機能が低下し、肌が敏感になってしまい、かゆみが生じてしまいます。
2. 加齢: 年齢をかさねると、ホルモンバランスの変化により肌の状態が変わり、若いころより外部刺激に弱くなることがあります。
3. 体質: もともとの体質により、敏感肌になる人とならない人がいます
4. 生活習慣の乱れ: ストレスや睡眠不足、食事の偏りなどの生活習慣の乱れは肌へのダメージにつながります。
5. ターンオーバーの亢進: 皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が早まると、肌のバリア機能が低下し、敏感肌になりやすくなります。
6. 外的要因: 空気の乾燥や紫外線、不適切なスキンケアなどの外的要因も肌にダメージを与え、敏感肌を引き起こす可能性があります。

頭皮が敏感になる要因は一つだけではなく、様々な要素が絡み合っています。 それぞれの人によって原因は異なるため、自分の生活習慣や体調を見つめ直し、必要であれば専門家に相談することが大切です。

敏感頭皮のシャンプー、どのような点に気を付ける?

シャンプー時の適切なお湯の温度とは?

熱すぎるお湯での洗髪は頭皮を乾燥させ、敏感肌をさらに刺激する可能性があります。一方、冷たい水での洗髪は、汚れ成分は油のため、汚れ落ちが悪くなる可能性があります。そのため、シャンプーは、ぬるま湯で洗髪することが推奨されます。37~39℃くらいの体温より少し高く、「熱い」と感じない温度で洗髪をしましょう。ちなみに、夏場は暑さから35度以下の水に近い温度で洗髪をしたくなる…という方も多いかと思いますが、汚れ落ちが悪くなるので気を付けましょう。

シャンプー時間をなるべく短縮させよう

敏感な頭皮の方にとって、シャンプーなどの洗い流す化粧品を長時間地肌につけておくことは、あまり望ましくありません。シャンプーをする時間はなるべく短くすることが望ましいです。そのためには、お風呂に入る前に、ブラッシングをし、抜け毛や、髪の埃を事前に取り除いておきましょう。これによって洗髪時の絡まりをなるべく軽減でき、洗髪時間の短縮につながります。また、シャンプー前に「予洗い」をすることも重要です。事前にお湯だけで落ちる汚れやスタイリング剤は取り除いておき、髪と頭皮を濡らしておくことで、シャンプーの泡立ち時間が早くなり、時間短縮になります。ちなみに、髪の毛は濡れている状態が一番ダメージを受けやすいとされています。髪の毛に水分が加わることでキューティクルが開き、その状態で髪に摩擦が加わるとダメージが広がってしまいます。頭皮だけでなく、毛髪にとってもシャンプー時間は短い方が望ましいです。

シャンプーブラシを使おう

みなさんは、シャンプーは手でされているでしょうか?多くの方は手で洗髪し、指の腹で洗うことが多いかと思います。最近は、女性はネイルをしている方も多く、爪があたると、敏感な頭皮をさらに傷つけてしまう可能性があります。そのため、近年は色々なメーカーからシャンプー専用のブラシが販売されています。シャンプーブラシで洗髪することも敏感な頭皮を傷つけずに洗う方法です。またマッサージ効果もあり、頭皮の血行促進にもなって、スカルプケアの一面もあります。敏感な頭皮の方の場合は、硬すぎず、柔らかめのシャンプーブラシを選び、小刻みに揺らしながら使用することをおすすめします。

敏感肌の方のシャンプーの頻度

シャンプーは毎日したほうがいい、または、油をとりすぎるから毎日しない方がいい…など色々な説があり、様々な考え方があります。私たちは、基本的には洗髪は毎日実施し、清潔な頭皮を保つことが望ましいと考えています。人の身体の中で、皮脂の分泌量が多いのは、顔のTゾーンということは想像できるかと思いますが、実は一番皮脂分泌量が多いのは頭(頭皮)で、頭皮の皮脂は、顔の皮脂の3倍分泌されていると言われています。どんなに疲れていても、顔は毎日洗う方がほとんどだと思いますが、実は頭皮の方が汚れやすいのです。これは敏感肌の方も同様のため、基本的には毎日の洗髪を推奨しています。
ただし、頭皮のダメージ具合によって、症状がひどい場合は皮膚科医等、専門家に相談し、専門医の判断に任せましょう。

敏感肌の方へのおすすめのシャンプーとはどのようなシャンプー?低刺激のシャンプーの選び方とは?

シャンプーの表示成分の8割は洗浄成分!

シャンプーに表示されている成分の8割が洗浄成分だと思って間違いありません。そのため本来、シャンプーは洗浄成分で選ぶのが正しいシャンプー選びと言えます。敏感肌の場合は、できるだけ肌に優しい、マイルドな洗浄成分を使用したいですよね。例えば、アミノ酸系の洗浄成分や、ベタイン系の洗浄成分をメインに配合したシャンプーは比較的マイルドなシャンプーと言えます。最近は、シリコンや防腐剤などの無添加が注目され、配合比率としてはわずかな成分に目が向いてしまい、肝心な洗浄成分や美容成分をチェックしていない人も多いよう…。正しいシャンプー選びができるよう、下の洗浄成分の一覧をぜひ参考にしてみてください。

洗浄成分の種類 代表的な成分 洗浄力 毛髪
刺激
頭皮
刺激
特徴
高級アルコール系
(ラウレス系)

ラウリル硫酸Na
ラウレス硫酸Na

安価で泡立ちが良い。 市場の大半の製品に配合。洗浄性が高い反面、強い「脱脂力」がある。

オレフィン系(合成)

オレフィン(C14-16)スルホン酸Na

泡立ちが良く洗浄性が高い。硫酸系より低刺激。

アミノ酸系 グルタミン酸系

ココイルグルタミン酸TEA
ラウロイルグルタミン酸Na

髪と同じたんぱく質成分(アミノ酸)から作られた洗浄剤。
高価な洗浄成分であるが、刺激が低く、脱脂力も弱いため髪や頭皮のうるおい成分を過度に取り除かない。
このため毛髪や頭皮の乾燥を防ぎ、特にデリケートな髪・地肌の方に向いている。
反面、泡立ちが弱く、使用時の爽快感も低めとなる。

アラニン系

ココイルアラニンTEA
ラウロイルメチルアラニンNa

グリシン系

ココイルグリシンK
ラウロイルサルコシンNa

タウリン系

ココイルメチルタウリンNa
ラウロイルメチルタウリンNa

アミノ酸に似た構造の洗浄成分。
洗浄力が穏やかで、低刺激。

ベタイン系

コカミドプロピルベタイン
ラウラミドプロピルベタイン
コカミドベタイン

天然成分から作られた洗浄剤。
洗浄力が弱く、低刺激なため、ベビー用製品によく使われる。
毛髪に対し、柔軟効果がある。

石けん系

脂肪酸Na
ラウレス-3酢酸Na

比較的安価で洗浄力が高い。泡質も良好で、すっきりした洗いあがりが特徴。
ただしアルカリ性となるため、毛髪に対するダメージがあり、キシミ・モツレを引き起こす。

洗浄成分をチェックしてみよう!

みなさんは、使用しているシャンプーの成分表示をチェックしたことはありますか?まだの方は、今日の入浴の時間に、ご自身が使っているシャンプーの洗浄成分を是非チェックしてみてください。多くの場合、シャンプーボトルの裏に、小さい字で、成分の一覧が載っています。そして、シャンプーである化粧品の全成分表示は、配合量の多い順に表示する決まりがあります。まず、一番初めに記載されているのは「水」のはずです。そのあとから、「洗浄成分」と続きます。シャンプーは水と洗浄成分で8割を占めています。そのことからも、シャンプー選びに洗浄成分がいかに重要かということが分かります。

※医薬部外品は、配合量に関わらず、有効成分を先に表示している場合もあります

アミノ酸系シャンプーとは?

乾燥肌や敏感肌の方は、ご自身の状態に応じたスカルプシャンプーの使用をおすすめします。その際、洗浄力がマイルドなシャンプーを選んでください。頭皮にやさしいアミノ酸系洗浄成分がベースの製品がおすすめです。アミノ酸系シャンプーとは、その名のとおりアミノ酸系洗浄成分を配合したシャンプーのこと。人間の皮膚や髪のタンパク質を構成するアミノ酸と同じ成分でできていて、しかも肌と同じ弱酸性なので、髪や頭皮にやさしいのが特長です。しかも汚れだけを選んで落とし、肌の中のうるおい成分はしっかり残してくれる機能もあり! 植物由来なのできちんと分解されて自然に戻るため、地球環境にやさしい成分としても人気を集めています。

このように、シャンプーの洗浄成分としては理想的なアミノ酸系洗浄成分ですが、原料が高価なため、一般的な製品よりも少し高いのがちょっぴり残念。
そのため、サロン専売品や美容院専売品として長く使われてきましたが、髪と頭皮にこだわる人たちにファンが多く、現在はドラッグストアや薬局、通販など、市販として購入できる商品も出てきています。
敏感肌の方にとっては、マイルドで優しく、適度に洗浄力がある、おすすめの洗浄成分です。  

※当ページでは「頭皮」と「スカルプ」、「頭皮シャンプー」と「スカルプシャンプー」を同じ意味で使用しています(「スキャルプ」も同様です)。

ベタイン系シャンプーとは?

食品や化粧品など、あらゆる分野でナチュラルな素材に注目が集まる中、ヘアケアの世界でもオール植物系をアピールしたベタイン系シャンプーが人気です。ベタイン系の代表的な洗浄成分はコカミドプロピルベタインといい、ヤシ油脂肪酸を使用した成分。植物由来であること、弱酸性で低刺激、さらに地球にやさしい点など、アミノ酸系洗浄成分とかなり似た特長をもっています。原料のコストも比較的安いため、ベビーシャンプーのメイン成分や、一般的なシャンプーの補助成分として、ほぼすべての市販品に使われています。ただし、赤ちゃんが使うベビーシャンプーならOKですが、皮脂も多くスタイリング剤などを使っている大人が使うシャンプーのメイン成分にしてしまうと洗浄力が非常に低く、汚れを落としきれないというデメリットも。

人気だから…と取り入れるというよりは、すべてにおいて本当にナチュラルな生活スタイルを求める人、とても刺激にこだわる人などに向くシャンプーと言えそうですね。

敏感肌の人にはノンシリコンシャンプーがいい?

皆さんはシリコンと聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?一時期、シリコンは悪だというような風潮がヘアケア業界にまん延し、ノンシリコンシャンプーばかりが新商品で発売されていた時期がありました。

シリコンはそもそも、良くも悪くも人体に全く作用しないのが特長です。そのため手術の充填剤として医療の現場や、消泡剤として食品などにも使われています。ヘアケア製品では、指通りをなめらかにして摩擦を防ぎ、ツヤを与える成分として配合されてきました。またシリコンは編目状の分子構造のため、気体や湿気を通しやすく、髪や頭皮を密閉してしまう、毛穴を詰まらせるなどのイメージは、実は間違いなのです。ただ、世の中にはいろいろなアレルギーがあるのと同様、一部の方にシリコンが合わない体質の方もいらっしゃると思います。そのため、敏感肌用のシャンプーにはノンシリコンにしているものも多いのです。

ノンシリコン系シャンプーは、ハリやコシ、ボリュームを感じられる仕上がりが欲しい人にはぴったりですが、その反面、なめらかさや指通りには課題も多く、きしみを感じ、ダメージヘアの人が使うと摩擦でさらにダメージをよんでしまう可能性もあります。敏感肌だからといって、ノンシリコンがいいとは一概には言えませんが、シリコン配合のシャンプーでかゆみや、赤みなどの症状が出る場合は、ノンシリコンに切り替えてみるのもいいかもしれません。

シリコンシャンプー ノンシリコンシャンプー
メリット

髪同士の摩擦を抑える
しっとりとした仕上がりで指通りが良い

ハリコシ、ボリュームが感じられる
ふんわり仕上がる

デメリット

髪のボリューム感が出しにくい
シリコン=悪いイメージがある
シリコンアレルギーの人は使えない

髪がきしみ、指通りが悪くなる
髪同士の摩擦で毛髪にダメージを与える可能性もある

敏感肌には薬用シャンプーがいい?

普通のシャンプーは「化粧品」に分類され、薬用シャンプーは「医薬部外品」に分類されます。医薬部外品の承認には、厚生労働省の審査が必要であり、承認されたものには、「薬用」という表示が許可されます。薬用シャンプーは、フケかゆみを防ぎ、毛髪はもちろん頭皮の洗浄、汗のにおいを防ぐなどの効果があり、そのための有効成分が配合されています。

敏感肌の方はこのような症状を感じることも多いと思いますので、薬用シャンプーを試してみるというのも一つの選択肢となります。特にかゆみが気になるという方は、「グリチルリチン酸(抗炎症成分)」、「ミコナゾール(抗菌成分)」や「オクトピロックス又はピクトンオラミン(抗菌・抗酸化成分)」などが配合されたものを選ぶと症状の緩和が期待できるかもしれません。

ラサーナの薬用シャンプーを例に取ると――フケ・かゆみを防ぐ作用があるグリチルリチン酸2Kや、頭皮や髪に優しいとされるアミノ酸系洗浄成分であるヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸といった成分が配合されています。

敏感肌には無添加のものがいい?

「無添加シャンプー」とは、香料・着色料・防腐剤・石油系界面活性剤・アルコール・パラベン・防腐剤・酸化防止剤・鉱物油・サルフェート・シリコンなどの、特定の成分を配合していないシャンプーのことです。特定の成分が含まれていないという点では、どの成分にアレルギーを持っているかわからない敏感肌の方にとっては、無添加シャンプーを使用し、可能性のある成分を排除することで、リスクを回避することができます。また、具体的にアレルギーを持ってる成分が判明している場合、その成分が含まれていない商品を選ぶことは必須となります。

ほんとに無添加=安全?

無添加と聞くと、漠然と安心・安全な印象があるかと思いますが、必ずしも無添加=安全を保障しているということではありません。
例えば、防腐剤の代表であるパラベンについて、少しお話をします。一般的にパラベンとは非常に体に悪いものというイメージが持たれていますが、本来は厚生労働省で安全性を確認した成分であり、あくまでも体質が合わない場合にアレルギー等を起こす可能性のある成分として位置づけられたものです。これはソバや卵、小麦などと同じなので、パラベン=悪を言うなら、ソバ=悪と言っていることと同様となります。

防腐剤無添加のシャンプーと聞いてどう思われるでしょうか?シャンプーの成分一覧で一番多く配合されているのは「水」です。浴室のような高温多湿の環境でシャンプー、トリートメントといった水ベースの混合物は腐敗しやすいため、なんらかの防腐剤を配合することは、安全な製品作りの上では必須となります。

このように無添加という言葉だけにとらわれず、「●●フリー」「●●無添加」とこだわる成分は自分自身にとって本当に危険なのか、また、自分の肌に合わない成分が入っていないか、何が無添加なのかをしっかり確認して選びましょう。適量の範囲内で配合された商品を使用することで、安全性を担保し、使用感やお悩みの解決につながる場合もあります。シリコン/ノンシリコンも同様ですが、ご自身の髪と頭皮の状態と、体質を見極め、ご自身に合った正しい製品選びをすることが重要です。

その他Q&A

敏感肌の方のトリートメントの際に気を付けることは?

敏感な頭皮の方のシャンプー選びについてお伝えしてきましたが、トリートメントはどうでしょうか?実は、トリートメントはシャンプーよりも刺激が強く、敏感肌の方は、シャンプー以上にトリートメントの方法も気を付けなければなりません。トリートメントに使用される、カチオン界面活性剤は、髪の毛が柔らかくしなやかになる効果がある一方、殺菌力が強く皮膚に残留しやすいと言われています。そのため、洗い残しがあって地肌に残ったままにしてしまうと、刺激の原因となる可能性があります。トリートメント、リンス、コンディショナーなどは、髪の毛に使用することを意識し、なるべく地肌にはつけないこと、また十分なお湯でしっかりすすぐことが大切です。

※「リンス」「コンディショナー」「トリートメント」の定義や取り扱いの有無はメーカーによって異なることをお断りしておきます。当社はコンディショナーをラインナップしていませんが、リンスとトリートメントの当社の定義は以下です。
リンス:シャンプー後に弱酸性の成分でpHを整え、またオイル分を補給することで髪の滑り・まとまりをよくする目的のもの
トリートメント:髪の表面から浸透し、毛髪内部のダメージの補修を目的とするもの

男性の敏感肌用シャンプーは?

男性は、一般的に女性よりも皮脂量が多いため、メンズシャンプーは洗浄力の高いものや、メントールですっきりするシャンプーが多いのが特徴です。敏感肌の場合は、上で述べた通り、洗浄成分がマイルドなシャンプーを選ぶ必要がありますので、その点は、男性用、女性用ともに共通しており、男女で選び方が変わるという点はありません。

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